2012-12-23

歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より

市民コンサートでの合唱曲がブルックナーのTe Deumと決まった時に、合唱部分の正味時間が15分程度と知った私が、「少し短いので、もう1曲合唱曲を増やしませんか?」と実行委員長にお願いをしたことがきっかけとなって、本日のプログラムにワーグナーの楽劇が加わることとなりました。

歌劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(Die Meistersinger von Nürnberg)は、19世紀におけるドイツオペラ界の巨人と称されるリヒャルト・ワーグナー(1813~1883)が1867年に完成し、翌1968年にミュンヘン宮廷歌劇場にて初演が行なわれました。ワーグナーは、歌劇『タンホイザー』を完成した1845年から、この歌劇に対する着想を持ち、台本の草稿作りを始めていたので、完成までに足かけ20年以上という長い年月を要した作品です。 『タンホイザー』は騎士達の歌合戦のシーンが有名ですが、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』では文字通りドイツのニュルンベルクでの職匠歌人(=マイスタージンガー)による歌合戦が舞台となっています。ワーグナーの歌劇としては珍しく神々や亡霊、精霊達の登場が無く、純然たる人間のドラマが16世紀の史実をベースにして喜劇仕立てにて構築されています。
本日は、この歌劇から、オーケストラによる序曲を2曲と合唱曲3曲とを抜粋して、演奏いたしします。

本歌劇のストーリはかなり込み入っており、この紙面スペースでは書ききることが出来ないため、本日の演奏曲についての情景などをご紹介いたします。


・  第1幕への前奏曲
単独で演奏されることも多く、本歌劇中で人々が耳にする事が一番多いのがこの前奏曲です。劇中の主要な旋律が前奏曲に散りばめられています。
・  第1幕第1場「会衆の合唱:主は汝のもとへ来たりて」
幕開けの舞台である教会の聖堂での礼拝中に会衆が厳粛に洗礼者ヨハネを讃え上げる賛美のコラールです。このコラールをバックにして、騎士ヴァルターと、翌日開催される歌合戦の優勝者に求婚権が与えられる事になった若き娘エファの2人が、身振り手振りで演技をしているところから、この物語ははじまります。
・  第3幕の前奏曲
本作の主人公で靴屋で男やもめのマイスタージンガーのザックスが、深く心に秘めていたエファへの思いを諦める気持ちを描いた、重苦しい「諦念の動機」のフーガで始まる前奏曲です。
・  第3幕第5場「徒弟達の合唱:静粛に静粛に」~
         「民衆の合唱:目覚めよ朝は近づいた」
エファの婿取り歌競べの開始直前、徒弟達が聴衆を静め、ザックス親方が壇上に立つと、聴衆は起立して帽子を脱ぎ、ザックスを讃える歌を合唱します。
・  第3幕第5場「全員の合唱:ドイツのマイスターをたたえよう」
若き騎士ヴァルターに歌合戦での勝者が決し、ザックス親方が「マイスタージンガー達に対して敬意を」と説いたのちに、全員での大合唱でマイスタージンガー、ドイツ芸術の栄光、そしてザックスを讃えて、大団円を迎えます。

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2012年12月 松戸市民コンサート プログラム曲目解説として作成

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