2013-07-21

男声合唱のための「マザー・グースのうた」

「マザー・グース」は日本の「わらべ唄」に相当するイギリスの「伝承童謡」の総称として広く知られていますが、この直訳すると「がちょうおばさん」という一風変わった総称は、元々はフランスの詩人シャルルペローによる子供向け童話集の英訳本が「Mother Goose's Tales」というタイトルで出版されたことが発端となっているそうです。「メリーさんの羊」「きらきら星の」「ロンドン橋落ちた」のようにそのまま童謡として、メロディーと共に伝承されている詩や、なぞなぞ、早口言葉などいまでは言葉だけが残っている物も含めると、総数は1000篇以上にもなるそうです。

日本に「マザー・グース」が本格的に紹介されたのは、大正10年(1921年)に北原白秋が発表した132篇の翻訳詩集「まざあ・ぐうす」で、これによって日本における第1次マザーグースブームが起ったそうですが、それに遡ること約10年前の明治43年(1910年)には、竹久夢二が20篇ほどを自身の童謡の中に混ぜて発表していたそうです。それから約半世紀後の1970年代になって、谷川俊太郎が口語訳による翻訳詩集を「マザー・グースのうた」というタイトルで次々と発表した事が反響を呼び、第2次マザーグースブームが起りました。
この谷川俊太郎の翻訳詩集から、約20篇に青島広志が作曲を行なった曲集「マザー・グースのうた」は、当初は独唱とフルート4重奏向けの楽曲でしたが、やがてピアノと混声・女声合唱の曲集として作り直されました。本日演奏する男声合唱版も、その中から抜粋した全9曲の曲集として出版されています。
もともと、「マザー・グース」の詩自体が言葉遊びの要素を含むユーモアあふれる内容で、風刺に富んだ要素を持っていますが、作曲家青島広志は音楽的なパロディ的要素をさらに取り入れ、各曲毎に「ニューオルリンズJazzのスタイルで」「ほとんど政治歌謡ふうに」「映画音楽ふうに」などの副題を付けて、その遊び的な要素を極限まで高めており、この曲集が発表された1980年前後には、多くの合唱団がとりあげる人気レパートリーになりました。
作曲家が選曲や編成さらには演奏に対して、演奏者に対してかなりの自由度を許容していることから、本日の演奏では男声合唱版全9曲から抜粋した7曲に加えて、混声合唱版に収録されているピアノ独奏による「小序曲」を冒頭につけ加えています。ピアノパートには作曲者自身による演奏録音から採譜したものを一部利用し、発表後30年以上経ったことによって少々風化してしまったパロディ要素の一部分の割愛などの補作もおこなっています。また、演奏効果を高めるために(より賑やかにより楽しくって事ですが)、パーカッションパートを少しだけ追加しました。
このステージでは、詩と曲のそれぞれにちりばめられたユーモアやパロディの楽しさをお客様にお届けすることが、とっても大切だと考えていますので、もしもお客様のお気に召しましたら、演奏途中での笑い声や拍手、手拍子も大歓迎ですので、どうかリラックスして「マザーグース」の世界をお楽しみ下さい。
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(2013年7月 大阪男声合唱団 第13回定期演奏会 プログラム 曲目解説として作成)
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