2008-07-20

男声合唱曲「島よ」

『サッちゃん』や『いぬのおまわりさん』で有名な大中恩が、1970年に作曲した混声合唱曲『島よ』は、その年の芸術祭優秀 賞を獲得し、混声合唱の定番曲としての位置を占めています。作曲者いわく「男の宿命」にあふれる伊藤海彦の詩の素晴らし さもあって、発表当時から男声合唱版が熱望されていました。1977年に福永陽一郎により男声合唱への編曲(未出版)がなされ、 学生の男声合唱のピークであった70年~80年代には、この福永陽一郎編曲版が数多くの合唱団によって歌われていました。 2003年にOSAKA MEN'S CHORUSの依頼によって、大中恩自身による男声合唱曲『島よ』がようやく我々の前に姿を現しました。 学生の若く瑞々しい声にマッチした華やかでダイナミックな福永陽一郎版に比べ、大中恩の男声版は幾分シンプルかつ落ち着 いた色合いを持ち、大人の男声が歌うにふさわしい曲になっています。

曲は6つの部分より構成されており、各部で詩と音楽が ある程度完結しているためその一部分だけが演奏されることもありますが、基本的には6つの部分すべてを連続して演奏すべき 曲となっています。

  • 果てしない大海原と青い空に囲まれた孤島。
  • 鳥のよう自由に羽ばたいたり、魚のように泳ぎ回ることを夢に見、現実の空しさを噛みしめる日々
  • 降りしきる雨にうたれて身をそがれ、けずられるわが身へのいらだち、そして悲しみ。
  • 太古にはマグマを吹き上げ、空を赤く染め、海を煮えたぎらせた猛々しい若さを懐かします。
  • そして、この島の存在がすべて人そのものではないかという問いかけ。

今回の演奏会の選曲にあたり、この曲を目にしたとき、これは私なのだとの思いを強く持ちました。学生時代にも同じ詩を目に していたにもかかわらず、そのときは若さゆえかおぼろげにしか映らなかった「人という名の儚い島」。年輪を重ねてきた今だ からこそ「おまえは私ではないのか」で締めくられる詩を実感を込め演奏できるのではと考えています。
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(2008年7月 大阪男声合唱団定期演奏会のプログラム用曲目解説として作成)

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