「ロシア」という言葉自体は、世代によってその言葉の受け取られ方はかなり異なってくるのではないでしょうか。記憶の奥底に埋もれさせてしまいたい方、若き日の熱い思いをこの言葉とともに思い出す方、ソヴィエト連邦崩壊後の「ロシア連邦」という認識しか無い方。それぞれの方ごとの異なった思いによって、ロシア音楽と聞いて思い浮かぶ曲も異なってくるとは思いますが、それらの曲の多くが遥か彼方まで延々と広がるロシアの大地を想起させるという共通点を持っているように思えます。
今回のメドレーを構成する15曲のロシア音楽は、大きくは「ロシア人作曲家によるクラシック音楽」と「日本では一般的に『ロシア民謡』と呼ばれてきた歌曲」に大別されます。
これら『ロシア民謡』と呼ばれている曲の多くは、第2次世界大戦後に主には抑留帰国者達によって持ち帰られた楽曲です。ロシアで古くから歌い継がれてきた、本来の意味の「民謡」だけでなく、帝政ロシア時代に作曲された歌曲である「ロシア歌曲」、ソヴィエト時代の「ソヴィエト歌曲」が混ざり合った状態で、日本では『ロシア民謡』と称されてきています。
戦後の日本に台頭した共産主義、社会民主主義思想の普及の一環として1950~60年代に職場や大学での歌声サークルや歌声喫茶を拠点として日本全国に展開された「うたごえ運動」によって、これらのロシア・ソヴィエト由来の楽曲に日本語の歌詞が付けられ、世に広まることとなりました。
「遥かなるロシアの大地 ~ロシア音楽メドレー~」では、メドレーを構成する15曲以外にもピアノ伴奏や間奏などに、別のロシア音楽が組み込まれており、全部で20曲以上の曲が約15分の演奏の中に詰め込まれています。
お客様方は何曲を聞き分けることができますでしょうか?
【メドレー中の演奏楽曲一覧】
- ヴォルガの舟歌 ~ロシア民謡~ (訳:門馬直衛)
- カチューシャ ~ソヴィエト歌曲~ (曲:ブランテル / 詩:イサコフスキー / 訳:関 鑑子・丘灯至夫)
- ステンカ・ラージン ~ロシア民謡~ (訳:与田準一)
- トロイカ ~ロシア民謡~ (訳:楽団カチューシャ)
- 赤いサラファン ~ロシア歌曲~ (曲:ヴァルラーモフ / 詩:ツィガーノフ / 訳:堀内敬三)
- カリンカ ~ロシア歌曲~ (曲・詩:ラリオーノフ / 訳:楽団カチューシャ)
- 交響曲第2番第3楽章 (曲:ラフマニノフ)
- ピアノ協奏曲第2番第3楽章第2主題 (曲:ラフマニノフ / 詩:青木雅也)
- 歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊り (曲:ボロディーン / 詩:青木雅也)
- 交響組曲シェラザード第3楽章より (曲:リムスキー=コルサコフ / 詩:青木雅也)
- ともしび ~ソヴィエト歌曲~ (曲:不 詳 /詩:イサコフスキー / 訳:楽団カチューシャ)
- モスクワ郊外の夕べ ~ソヴィエト歌曲~ (曲:セドイ / 詩:マトゥソフスキー / 訳:穂高五郎)
- 黒い瞳 ~ロシア民謡~ (訳:堀内敬三)
- ポーリュシカ・ポーレ ~ソヴィエト歌曲~ (曲:クニッペル / 詩:グーセフ / 訳:橋本 淳)
- 交響曲第5番第4楽章より コーダ (曲:チャイコフスキー / 詩:青木雅也)
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