(アルト・ハイデルベルクとあらすじは良く似ていますが、王子・家庭教師などの名前は異なります)
アメリカのニューヨーク・ブロードウェイにおいて1924年12月2日の初演以来608公演を数え、以降も1940年代に至るまでに2度のリバイバル公演がなされ、ロンバーグにとっては一番成功した作品の一つとなっています。
1928年と1954年の2度にわたって映画化もなされ、2度目の映画の公開時期には、日本ではちょうど皇太子殿下のご成婚のニュースで賑わっていたこともあり、「皇太子の初恋」という邦題にて公開されています。
「The Student Prince」の楽曲の一部は、日本で映画公開されたこともあり、「セレナーデ」を中心として現在も耳慣れたBGMナンバーになっています。
また、昨年英国のオーディション番組優勝者として話題となったポール・ポッツも、「The Student Prince」の楽曲がお気に入りで、コンサートで良く取り上げているようです。
日本における男声合唱への編曲は北村協一が行い1960年に慶應ワグネルソサイエティ男声合唱団によって初演されました。オリジナルのミュージカルの全編をとおしてのテーマは王子と学生下宿の娘とのラブロマンスですが、男声合唱版においては、王子が青春を謳歌したハイデルベルクでの学生生活を描いた楽曲を軸として、男声合唱に造詣の深かった北村協一ならではの重厚なハーモニーの合唱組曲に仕上がっています。
あらすじ*1 (本男声組曲の構成に合わせてあらすじは若干のアレンジを加えてあります)
舞台は1860年代のドイツザクセン地方のカールスブルグ公国のカール・フランツ王子が、そのお抱え教師エンゲル博士と、ハイデルベルクに遊学するところから始まります。------------------------------------------------------------------------------------------
ハイデルベルクはエンゲル博士が学生時代に学んだ地でもあり、学生たちの「ドイツ学生歌(Gaudeamus igitur)」の歌声を聞き、若かりし頃を懐かしみ「輝かしき日々よ」と歌い上げます(Golden Days)。
カール・フランツ王子は、学生隊「ザクソン団」の一員となり、毎晩のように酒場に繰り出すようになります。(Drinking Song) (Student March Song)
学生下宿の娘のケティーと知り合った王子は、次第に惹かれあい愛し合うようになります(Deep In My Heart, Dear)。 ある夜散歩をしていた王子は、窓辺にケティーの姿を見つけ、切々と我が心の内を歌い上げるのでした(Serenade)。
学生生活で青春を謳歌していた(Student Life)カール・フランツ王子のもとに、突然カールスベルク王の重病のしらせが届きます。王子はケティーには再会を誓いながらもハイデルベルクでの学生生活に別れを告げ、カールスベルクへと戻る事となりました。
ほどなく、王は亡くなり、カール・フランツはが王位を継ぎ、マーガレット王女との婚約が決まりました。大学時代の仲間も婚約式に呼ばれ、彼らから懐かしいハイデルベルクの様子を聞くと、仲間やケティーと過ごした楽しい日々への思いがつのり、カール・フランツは今一度ハイデルベルクを訪れようと思い立ちます。
ハイデルベルクに戻ったカール・フランツは昔の仲間たちに大歓迎をうけ、ケティーとの再会も果たします。二人がお互いを愛する気持ちに変わりは無いものの、お互いの進むべき道は異り、会えるのはこれで最後となるが、いつまでも胸のうちにこの気持ちを忘れずにいようと誓い、舞台の幕をとじます。(Deep In My Heart, Dear)
(2010年7月 大阪男声合唱団定期演奏会 プログラム 曲目解説 として作成)
- 2017年に東海メールクワイアから出版された楽譜巻末のあらすじとは、いくつか役名や舞台設定に相違がありますが、本稿のあらすじは、オリジナルのブロードウェイミュージカルのあらすじ、楽譜巻末のあらすじは1954年公開の映画版のあらすじとなっています
0 件のコメント:
コメントを投稿