2022-11-27

男声合唱のための組曲 「旅」

 「旅」は佐藤眞が1962年の文部省主催の芸術祭合唱部門に参加する目的でニッポン放送の依頼により作曲をした、全7曲からなる混声合唱のための組曲です。男声合唱版は1999年と2002年の2回に分けて編曲が行なわれ、その後2005年の改訂を経て、現在に至るまで数多くの合唱団に歌い継がれる名曲となっています。
この組曲には、曲ごとに当時ニッポン放送の専属ライターであった山之井愼が書きおろした朗読用の詩が用意されています。詩人田中清光との共作による詩が、曲間の朗読詩によって繋がれることによって一連のストーリーとしてまとめられた組曲となり、演奏される曲に対して歌い手や聴き手がイメージ作りをしやすい構成になっています。
山之井愼が構成した朗読詩による設定では、この組曲の主人公ともいえる旅人は、高度成長期に突入した時代に生きた都会の機械工場で働く若者。その若者の旅に出ることのよろこび、旅で出会った人々や情景への感動、時折は思うに任せることが出来ないことへの葛藤、そして若者ならではの前向きな立ち直りなどが、旅というテーマに沿って描かれています。
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(2022年11月 ジョイントコンサート「第2回コーラスの玉手箱」 プログラムの曲目解説原稿)

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